大判例

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東京高等裁判所 昭和47年(う)2735号 判決

被告人 堂丸長猛 外三名

〔抄 録〕

(二) いわゆる「兇器」についての解釈適用の誤りを主張する点について。

所論は、原判決が本件で用いられた鉄パイプ、角材および石塊を刑法第二〇八条の二にいわゆる「兇器」に該当すると判断したのは、同条の解釈適用を誤ったものであると主張する。

しかし同法同条にいう「兇器」には、銃砲、刀剣などのいわゆる性質上の兇器のほかに用法上の兇器のうち社会の通念にてらし人をして危険感を抱かせるに足りるものも含まれるものと解すべきところ(昭和四五年一二月三日最高裁判所第一小法廷決定、刑集二四巻一三号一、七〇七頁、昭和四七年三月一四日同第三小法廷判決、刑集二六巻二号一八七頁参照。)、記録によれば、本件において被告人らが携えていた角材は、その大きさはまちまちであるが、概ね長さ二メートル前後のものであったことが認められるのであって、所論の鉄パイプ、角材は、その本来の性質上人を殺傷するために作られたものではないが、用法によっては、人の生命、身体または財産に害を加えるに足りる器物であり、かつ二人以上の者が他人の生命、身体または財産に害を加える目的をもってこれを準備して集合するにおいては、社会通念上人をして危険感を抱かせるに足りるものであるから、刑法第二〇八条の二にいう「兇器」に該当するものと解するのが相当であり、また石塊は、社会生活上本来の用法により使用される限りでは危険性はないものではあるが、客観的な事情によっては、ごく小粒かつ少量の場合を除いてその大小を問わず、しかも集合体のうちの多数の者が手にこれを持って投げるような場合には、その所持する鉄パイプ、角材などと合わせて、その威力は火器などに劣るとはいえ、なお通常人をして客観的な危険感を抱かせるに足りるものというべきところ、記録によれば、被告人らは本件において概ねこぶし大ぐらいの大きさの石塊を多数所持して警察官らにこれを投げつけていることが認められるのであって、所論の石塊は、石塊それだけでは社会通念上人をして危険感を抱かせるに足りるものとはいえないとしても、多数の者が集団的行動としてこれを利用し、人をして客観的な危険感を抱かしめるものであるから、本件においては、石塊についてもまた同条にいう「兇器」に含まれるものと解するのが相当である。したがって原判決が本件で用いられた鉄パイプ、角材のみならず、石塊をも兇器準備集合罪にいう「兇器」に該当するものと判示したのは正当であって、原判決には所論のような違法は存しない。

(石田 菅間 柳原)

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